1時限目、英語
今日の一時限目は英語だった。自分の身体で授業を受けるのは最初は新鮮で、ランドセルを背負い始めたピカピカの小学一年生のようにワクワクしたが、授業開始から十分経ってもう飽きた。ノートに落書きをしながら時間を潰した。史郎には黒板のノートを取らなくてもいいと言われていたから、俺はそのとおりにした。
史郎曰く、担当教師の岡本は、生徒を当てる事は少ないらしい。たまに指名されるが、指名されるのは、その日の日付と出席番号が一致する生徒。そして今日は三十日、史郎の番号は十一番。当てられることはなかった。授業終了まであと二十分。とりあえず、英語はなんとか乗り切れそうだな。俺はホッと胸をなでおろす。
「あー残り、二十分、ちょうどいい時間ですね。皆さん、今から抜き打ち小テストを行います」
岡本の発言に、教室がざわつく。俺も例外ではなかった。小テストだと!
「皆さん静かに、小テストといっても、今までの復習のようなものです。中学の内容も含まれていますが、きちんと授業を聞いてノートを取っていれば、簡単に出来ます」
すんません、先生。俺授業聞かずに寝ています。ノートも史郎が取っているので、俺は分かりません。さっきの授業もほとんど聞いていませんでした。
「(おい、史郎! 起きろ、小テストだってよ! 史郎!)」
「(うーん、あと五分……)」
「(ベタな寝言言ってんじゃね!!)」
俺は史郎を起こそうと試みるが、一向に起きる気配がない。くそっ、だから夜更かしするなと言ったのに。
そうこうしているうちに、前の席のクラスメイトからテスト用紙が裏返しで配られた。俺は束から一枚抜き取り、残りを後ろの席の生徒に回す。
「それでは制限時間は十五分です。始めてください」
岡本の合図で、生徒が一斉にプリントを表に返し、シャープペンシルを走らせる。
「(くそっ! 史郎は起きないし、俺がやるしかないのか……!)」
仕方ねえ、やってやるよ。俺だって、普段ずっと寝ているわけじゃねえ。たまに起きてることもあるし、史郎の目と耳を通じて、ある程度の授業は聞いてきた。ほとんど聞き流していたが……大丈夫だ俺、自分の記憶力を信じろ!
俺はテスト用紙に目を通した。
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