最小限の力でチョップ
まさか、俺が史郎じゃないってバレ――
「さては、貴様! ルパンだな! おのれ、本物の史郎っちを何処に隠した!」
「……」
あー、刑事さん。本物の史郎っちなら、俺の頭の中で寝てるよ。まあ、友達が二重人格者で、別人格に任せて本人は居眠りしているなんて普通思わないか。とにかく、こいつが馬鹿で助かった。
「とっつぁーん! 銭形のとっつぁーん! ここにルパンがいますよー!」
「やかましい」
「あぎゃっ」
俺は桜子に、軽くチョップする。軽ーくだぞ、軽ーく。全力の一パーセント未満の力でだ。下手したら桜子の頭があのコンクリブロックのように割れちまうからな、力加減には注意しないと。
「うぅ、家庭内ディーブイだ……」
「お前と夫婦や兄妹、ましてや親子にになった覚えなんかねーよ」
桜子は叩かれたおでこを擦る。どういうわけか、殴られた個所を擦る桜子の顔はニヤケていた。……こいつ、マゾなのか?
「まあ、それはそうと史郎っち。やっぱり口調、いつものに戻した方が史郎っちらしいよ。それにイメチェンするなら、入学の時や夏休み明けの時にした方がいいと思うな」
どうやら、桜子は俺が高校デビューをしたがっていると勘違いしたらしい。
都合いいし、そういうことにしておこう。
「そう、だ、ね。戻すことに、する、よ」
俺は史郎の言葉遣いを真似て、桜子に返事をする。うん、我ながら自然な演技だ。俺って演技派なのかもしれないな。普段の史郎と同じ口調だ。
「なんかまだぎこちない気がするけど、まあ良いか。それじゃあ我らが学び舎に行きますか!」
そう行って、桜子はスキップしながら進みだす。きごちない? 俺は自然だと思うんだがな。
俺も桜子を追う。スキップする桜子は周りから浮いていてみっともないから、少し距離を置いて。
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