第29話
「そうか……それはとても失礼な事をした。本当にすまない」
と漢らしく謝る耀司。耀司が謝るところを見るのは初めて――なので、とても不思議な気分だ。
「いえいえ、センパイの事を思うなら当然の行動だと思います。こちらこそすいませんでした」
――しばらくの沈黙。
「涼太の事をよろしく頼む。これは親友としての願いだ」
「承りました」
願いを伝えた耀司は彼女に礼をし、そのまま生徒会室を出て行った……
もちろん僕はダッシュで隠れましたとも。そりゃもうマッハ3ぐらいで。
*
耀司が出てから5分ほど経ってから僕も生徒会室へと入る。
「ごめん、遅くなった」
「いえいえ、私にも用事があったので……」
耀司のことだろう。
「じゃあ、帰るか」
「はい♪」
――あんなこと言われたのに元気なんだな。
と、少しホッとすると共に、「センパイを好きになった」という言葉が頭を駆け巡っていた……
「センパイ?……セ・ン・パ・イッ!」
「もう、話聞いてました?」
「ごめんごめん、ちょっと考え事してた」
――君の事なんだけどね。
「もう…… 定期テスト終わったら遊びに行きませんかって話をしてたんですよ」
「あー……」
「梅雨に入る前にセンパイと遊んでおきたいんですけど、ダメですか?」
「分かったよ。考えとく」
嬉しそうな顔をする彼女を見ながら、この日常のようで非日常的な生活が、どうなるのか――
それだけが不安だった。
「今日もありがとうございました、また明日♪」
「また明日」
――明日はもっと平和だといいな。
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