第26話

 女の子の手作り弁当――


 それは男の夢であり、多分世界も救えるだろう。


 嘘です、救えません。


 そんな手作り弁当、それも超絶美少女のやつを頂くことになるなんて……

 産んでくれてありがとう、お母さん。


 *


「センパイ、どうしたんですか?」

 顔を覗きこまれる。いちいちあざといのがかわいい。


「あ、ごめんごめん……ちょっと考え事してた」

 一瞬で現実に引き戻される。


「それでは気を取り直して、いただきます」

 まずは美味しそうな肉じゃがから。

 箸で簡単に崩れるじゃがいも。しっかりと味が染みている証拠だろう。

 それを糸こんにゃくとともに口に運ぶ――


「美味いな」

 率直な感想だ。とても丁寧に作られている。


「そ、そ、そうですか……お口に合ったようで良かったです」

 顔が真っ赤だ。大丈夫かな……心なしか嬉しそうに見える。


「他のおかずはどうですか?」


 聞かれた僕はきんぴらを取る。

 ああ、このピリッとした味が好きなんだよ……



 *


「ふぅ……」

 美味しかった。少なくとも自分で作るよりは満足感のある弁当だった。


「どう、でしたか?」


「美味しかった、すごく。でももう少し薄味の味付けでいいかも」


「分かりました、次は少し薄めに作ってみますね♪」


 ――ああ、俺って実は幸せ者なのかもしれない。

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