16話 二人でお風呂

 そういうわけで、ハクトは日替わりで女の子と二人でお風呂に入ることになってしまった。女性に対する耐性のないハクトには常人よりもことさらつらい。

 彼女らがじゃんけんをし、今日のお風呂のお供は美鈴に決定した。

「なにとぞお手柔らかに……」

「お手柔らかに!?何を!?」

 ただお風呂入るだけでしょ、とハクト。……いや、お風呂入るだけでも実際は問題あるのだが。

「……では、先にタオルに着替えるので、いいと言うまで入らないで下さい」

 と美鈴は言い残して、脱衣場の扉を閉めた。何が悲しくてハクトは何もない廊下に一人立っているのか。

 かと言って何かできるわけでもないので、ひたすらぼーっと立っていると、扉が開き、美鈴が顔だけ覗かせた。

「ど、どうぞ」

 了承を得たのでハクトも脱衣場に入る。右側のピンクのカゴには、先ほどまで美鈴の着ていた服が畳んで置いてある。

「あ、あんまり見ないで下さい」

 美鈴が恥ずかしがって手を振って遮る。

「じゃあ先入っててよ。僕も後から入るから」

「わ、わかりました」

 美鈴は慣れない状況に戸惑い何かながらも、言われた通りに浴室へと入った。

 美鈴が戸を閉めたところで、ハクトも服を脱ぎ、短いタオルを腰に巻いて浴室に入った。

 浴室に入ると右側にトイレがあり、カーテンで仕切られたその奥に浴槽とシャワーがある。美鈴はシャワーを浴び終わったのか、髪を後ろに一つに束ね、浴槽に浸かっている。

 ハクトもざっと髪を洗い、身体を洗って浴槽に足を延ばした。美鈴が右に寄って、開いたところに体育座りで座り込む。二人で体育座りをして横に並んでいる状態だ。

「い、意外に狭いですね」

 美鈴がはにかんでハクトに話し掛ける。

「そ、そうだね。大きさとしては普通だもんね」

 ハクトも目を泳がせながら返答する。お互いタオルを纏っているとはいえ、腕の側面がくっついている。

 ……しばらく二人とも無言でいたのだが、再び美鈴から話を始めた。

「あの、ハクトさんっていつから軍にいるんですか?」

 美鈴は恥ずかしがる割に疑問を抱いた時は顔を近付けてくる。ハクトはその近さに耐えられずにそっぽを向く。

「えっと……去年入ったばっかりで、今年二年目だよ」

「そうなんですか」

 美鈴はハクトの返答を聞くと、少し体の向きをずらしてハクトの方を向き直した。

「あの、不束者ですが、改めてよろしくお願いします」

 狭い浴槽の中で、美鈴は体を45°ほどに傾けてお辞儀をした。ハクトも礼を返す。

「こ、こちらこそ」

「じゃあ私、先上がりますね」

 そう言って浴室を出て行く美鈴を、ハクトはぽかんとして眺めていた。――少しのぼせたのかもしれない。

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