第54話カラオケ

「カラオケ、桜さんも、行く?」


 移行の子に誘われたのは外を歩いている時でした。その子は、桜には『マシ』に見える子です。


 カラオケかあ。


 桜は昔、声優学校の仲間とカラオケに行ったことを思い出しました。今は、誰ともカラオケに行っていません。


「いいよ」


 二人でカラオケならいいかな。


 思わず、了承していました。


 いざカラオケとなると、ぞろぞろと他の人もついて歩きました。今さら断れない桜は、皆から距離を置いて歩きました。


 もし、この人達と歩いている所を見られたら、自分も障害者だと思われるに違いない。


 もしも演劇の人達に見つかったら……


 耐えられないことだと思いました。

 

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