第52話告白
「会ったら、自分の障害と病気のことを隠さず話しなさい」
同級生と会うその日、お母さんは念を押しました。
緊張します。後ろめたさで心が痛い……
久しぶりに会ったその人は変わりませんでした。ただ、以前とは違う嬉しそうな笑顔を浮かべています。
私はこの人にもうすぐ見放されてしまう。
これまでに色んな人が桜から離れていったことを思い出しました。
「話があるの」
コーヒーを飲み、桜は話を切り出します。
お互いに緊張しています。最初に話さなくては、相手に辛い思いをさせることはわかっていました。
「私は実は障害者なの。大人になってからわかったの。発達障害と統合失調症で、統合失調症は後からかかった病気なの」
テーブルの向かいで、相手は何事もなかったかのようにコーヒーを飲んでいます。緊張している他は、何も変わらないのです。
「障害は治ることがないの」
「ここで話すのはやめようか」
相手が席を立ったので桜も立ち上がり、店を出ました。
これで、全て終わりです。
「町を歩こうか」
いつまでも変わらない相手に、桜は戸惑いました。
夕方になるとラーメンを食べました。
その帰り道です。
「良かったら、僕とつき合ってください」
どうして。
そっか、きっと、まだよくわかっていないんだ。
「はい」
桜は返事をしました。このままでいいのだろうかと思いながら。
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