第38話非難

 発表公演が終わった後、その日の内に、経営者は桜に話があると言いました。その『話し合い』には、教室の生徒も一人、参加しました。


「桜さん、あなたには教室を辞めてもらわなくてはなりません」


「なぜですか」


 驚いて聞き返しました。


「あなたは、精神が不安定なようです」


 桜はムッとしました。もしかして、この人、私が発達障害だと知っていてこんなことを言うのかしら。差別だ、と思いました。


「私は不安定ではありません」


 生徒で同席していた人が口を挟みました。


「桜さん、あなた、今日、私が十秒で動いてとあれほど言ったのに動けなかったですよね。ハケる時、照明がついて姿が見えました。あなたには、劇は無理です」


 ここで、経営者に話が手渡されました。


「あなたは、市民劇に出た方がいいでしょう。ここは、真剣に演劇を勉強する所です。ここを辞めて、市民劇なら例え子供が騒いでも最後までつき合いますから」


 呆然としました。


 市民劇? 私に?


 子供? 失礼な。


 大体、なんで一生徒にまでこんなこと、言われなくちゃいけないの?


 煮えたぎる気持ちを、必死に桜はおさえました。


「お願いです、続けさせてください」


 経営者は疲れた様子で渋い顔になり、


「先生と話し合ってみます」


 と、言いました。

 

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