第36話再び

 半年後、桜はまた演劇教室に戻っていました。


 家にこもり、何もない生活。時々見るインターネットが生き甲斐。


 パソコンに向かうと、どうしても演劇について調べてしまいます。


 前回、桜が出られなかった劇の評価が高いことを知ると、心が濁流に巻き込まれ、いてもたってもいられなくなりました。


「桜さん、演劇教室に戻るのであればあなたに約束して欲しいことがあります」


 教室の、経営者です。


「あなたは今、精神状態が不安定だと思います。だから何も問題を起こさないで欲しいのです」


「劇をしたいです」


 桜は約束をしました。


 演劇教室はまた新たに劇団へ所属した人以外は、皆、新顔でした。


 桜には劇団員として活動してきた人達が鼻を高くしているような気がします。


 我慢するしかない、と、桜は思いました。


 もう、私の居場所なんて、他にないのだから。

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