第26話演劇
演劇教室で桜は笑われてばかりでした。
例えば、人とすれ違う単純なシーンを演じる時、桜が歩くと途端に笑いがおきます。
「なんでそうなるんだ?」
がははは、と大声で先生は笑いました。
「あんたは天才だ」
と。
桜は教室のムードメーカーになりつつあるのを自覚していました。
「桜ちゃん、帰りにご飯食べない?」
楽しいことが桜に沢山起こりつつありました。
演劇経験者も教室には沢山いて、小さな演劇界の人間関係に噂の花を咲かせているのを、側で聞いているのは楽しいと思いました。
私も沢山劇に出られたらなあ。
でも、難しいだろうなあ。
教室の先生は、不器用な桜を面白くしようとして、いつも話題の種にし、皆から浮かばないよう配慮していました。
いつからでしょう、桜は先生に恋をしていました。
先生は、私の良い所を見てくれる。
先生のことを考えると、幸せになって何も手につかない。
桜の遅咲きの初恋でした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます