第24話見えない溝

 退職し、貯金を崩し、演劇を習うことにしました。


 東京には行けなくても、劇はできると思ったからです。


 この頃になると、お母さんは不満そうな顔をするようになりました。


 声優とか演劇とか、いつからそんなことに興味を持つようになったのかしら? そんなの、才能ある人がやることではないの?


 やってみないと、できるかどうかわからないでしょう。


 桜は、お母さんに反抗的な態度を取るようになりました。


 お母さんと桜の間に見えない溝ができ、深く、遠くなっていくのを感じます。


 やるしかないんだ。だって、私は……


 人生の転機を桜は迎えていました。

 

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