第22話声優学校

 桜の特訓が始まりました。


 まずは大きな声を出し、恥ずかしいという気持ちを捨てるところから。


 内気な自分との戦いでした。その戦いは桜に良い影響を与えました。新しくアルバイトとして入社した会社で、皆に明るく挨拶ができるようになったのです。


 ほんの少しの変化が、桜には大きな変化に思われました。


 職場の昼休み、皆とわいわい楽しみながら食事をできるようになりました。少しずつ、桜はお喋りができるようになっていきました。


 声優学校にも通い始め、今までの机に向かう勉強との違いにわくわくします。


 感情を表現することが、恥ずかしいから楽しいに変わるまで、時間はかかりませんでした。


 桜の運命を変えたのは、朗読劇でした。


 振り当てられた役が、まるで自分のように思えたのです。


 絶望から立ち上がり、前向きに次の道へと進むその役が、桜を劇の道へと後押ししました。


 もっと舞台に立ちたい。


 桜は毎日、発声練習に明け暮れました。


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