第20話限界

 耳鳴りは、止まりません。誰も桜と口をきいてくれません。


 いつも、机の前でふらふらしています。


 仕事を減らされたのに、なんだか以前より仕事ができない気がします。


「仕事を辞めます」


 そう言うと、不思議と耳鳴りが聞こえなくなりました。


 有給休暇を消化する為、桜はすぐ休みに入りました。


 部屋の中で布団をかぶり、まだふらふらする頭を休ませました。


 自分が何でもない人間になるなんて、想像もしていなかった。


 桜はこの先どうしたらいいのだろう。


 未来への輝きが、一切見えないのです。

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