第15話詰め込み学習

 学校が始まりました。


 沢山、沢山、勉強しよう。桜はこれまでにない向学心に燃えていました。


 短大の授業は苦手な数学がないせいか、性に合っていました。新しいことを知ることも、レポートを書くことも楽しくて仕方ありません。


 気づけば、凄い数の講義を受けていました。毎日、宿題に追われました。大変なことも、努力しているという感じになって桜は面白く思いました。


 桜は、勉強とはどういうものか、分かった気持ちになっていました。先生と教科書とノート、たまにインターネットが、桜の勉強の全てでした。


 それでも色々な講義を取っていると発見がありました。一見、無関係に見える分野の勉強が、他の勉強の役に立つことが、しばしばあったのです。


 世界は知らないことに溢れている。なんて素晴らしいんだろう!


 桜は自分が偉い哲学者にでもなった気分でした。


 それでも馬が合わない講義もありました。


 それは、福祉。


 聞いていてもちっとも楽しく思えないのを、ダメダメ、可愛そうな人達のことをしっかり考えなくちゃ、と思いました。


 ババのカードを自分で引いていることに、この時も、桜は気づかなかったのです。


 この時だけではありません。色んなことの積み重ねが、後に響くのでした。


 桜は、甘くて、夢見がちで、思慮が浅い、そんな自分に気づけないでいたのです。

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