③根岸 透麻

 琴魅と初めてあったのは小学校二年生の時だった。転校してきて間もない俺に声をかけて来てくれたのが始まりだった。その頃、俺は一人だった。一人ぼっち。琴魅が話しかけてきた初めのうちは遠慮していたが、話しているうちに琴魅と話す楽しさ……いや、みんなと話すことの楽しさをしり、俺は友達がたくさんできていった。そして少しずつだがクラスに馴染んでいく事ができた。そこからもずっと同じクラスで、そのまま同じ高校に行くのが当たり前だとあの頃の俺は思っていた。そのまま大学も一緒に行きたいとも思っていた。

 今の俺がここにいるのも全部、あいつ……琴魅のおかげなのに俺はなんてもことをしたんだ。これじゃあ同じ事の繰り返しじゃないか?


 琴魅が死んでいなくなってから二年間俺は学校に行っていなかった。行っていなかったというより行けなかった。家からも出れなかった。学校に行ってまた俺のせいで誰かが死んだらどうしよう、琴魅が死んだのが俺のせいだって言われたらどうしよう、あの時俺が死んでいれば良かったのに……、というたくさんの気持ちが俺の心をめちゃくちゃにしていた。


どうやって立ち直ったか? それはただ、もう過ぎたことだ、あれはただの偶然なんだと毎日心に言い聞かせ、思い出さないようにした。今でも誰かが死んだ、事件に巻き込まれたみたいな話を聞くとあの日のことを思い出して泣きそうになる。心の奥底にこのできごと出来事を沈めて思い出さないように、新たな自分になろうとしているだけだ。自分を作っているだけだ。


このまま琴魅が帰ってこなかったらどうしよう……。また俺のせいで……あいつが消えてしまう、またあいつを苦しめてしまう。そんなことはもうしたくない。ずっと一緒にいたい、死ぬまでずっと隣でくだらないことを言って笑いあいたい。


二年前と同じようにはしない……絶対に……。

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