②悩んでも答えは「?」
あいつに大切な事、と言われてから二日が経った。その二日で分かった事がいくつかある。あいつは俺だけじゃなくて、他の人にも見える。ふつうに物に触ることも出来る。周りからみると普通なのだが、知ってる人から見ると、死人と話しているっていうことになる。これはこれで結構大変なんだよな。まぁ、これはまた別のお話だな。(なんちゃって番外編に書く予定…)
誰にも見えないってのもそれはそれで大変そうだがな……。
俺はあいつに言われたことを考えメモする事にした。
大切な事ってあいつのやり残した事かと思い、メモしていくことにした。
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・祭りで花火
・キャンプ
・魚釣り
・みんなでご飯
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俺なりには結構書けたぞ。俺は琴魅にそのメモを見せてみた。なのにあいつは…
「何これ。何で私がしたいような事しかのってないの。私がわがまま言ってるみたいじゃん……私はね透麻と私にとって大切な事って言ったじゃん。ちゃんと人の話聞いてよ。」
俺は最後のひと言が頭にきた。
「何偉そうに言ってんだよ。お前そんなこと言える立場かよ? 死んでるくせに,何もしてないくせに。何もしてないやつが上からあーだこーだ言ってんじゃねぇよ。俺は何も後悔なんかしてねぇしこれからもするつもりは無い。お前にとっては大切な事かもしれねぇけどそんなの俺には関係ねぇんだよ。うるせぇんだよ,何にもしないんだったら俺の前から今すぐ消えろよ!」
「な……なにそれ……消えろって……私もう消えてるのに。酷い、酷いよ! ……自分が生きてるからって。私はねこれ以上透麻に後悔して欲しくないの! 透麻が思い出さないようにしているだけで本当は後悔してんだよ!もう嫌だ! 上からあーだこーだ言ってるってしょうがないじゃん! もう死んでるんだもん、何も出来ないもん! 透麻の事なんてもう知らない。」
「俺は後悔なんかしてねぇって言ってるだろ、ちゃんと話聞けよ。ただでさえ人の話を聞けてなかったのに死んでからもっと聞けなくなったのか? 役立たずが。」
「うるさい! 透麻の話なんてもう聞きたくない! 透麻のことなんか大嫌い!!」
そう言って琴魅は泣きながら出て行った。
そこで気づいた。俺は生まれて初めて女の子を泣かせた。いや、それよりも初めて琴魅の泣くところを見た気がした。
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