第二章

「それで天音が耐えきれなくなって先生に全部話しちゃったり、もっと最悪な場合自殺しちゃうんじゃないかなって心配になってきててさ。こんなこと瑠璃先輩になんか言ったら、馬鹿にされるかこっちまで陰険なことされるに決まってるし。もうほんと、あの人面倒くさいよね」


 ま、縁切れないでいるわたしも情けないんだけどさ。


 最後にそう付け加え盛大なため息を漏らした郁代だったが、何気なく教室の入口を見つめ瞬時に頬を引きつらせた。


「……?」


 どうしたのかと思いつつ、私もそちらを向く。


 それと同時に、郁代が表情を変えた理由に気づき頭が重くなった。


 教室の後ろ側にあるドア、そこから瑠璃先輩が顔を覗かせていたのだ。


 そのすぐ後ろには、やる気のなさそうな様子の小塚先輩の姿も見えた。


 私たち二人が自分に気がついたことを悟ると、ニコリと笑って手招きしてくる。


「……どうするの、珠美」


 一瞬にして無表情になった郁代が、先輩を見つめたまま訊いてきた。

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