第二章

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 七月十三日、月曜日。


 朝から霧雨が降る薄暗い一日となったその日、教室に天音の姿は見当たらなかった。


 朝のホームルームが終わってすぐに担任の長谷部先生に確認したところ、体調不良のため欠席すると親から連絡が入ったらしい。


 昨夜メッセージを送ったときには


<学校には行くから安心して>


 と返信があったのに、症状が急変してしまったのではと不安になる。


「珠美」


 天音の身を案じながら窓の外を眺めていると、突然すぐ側から声をかけられた。


 相手を見上げ、郁代の存在を認識する。


「何?」


「天音のことだけどさ……」


 郁代は空席になっている天音の机をチラリと見やりながら、そっと顔を近づけてきた。


「最近ずっと調子悪そうだったけど、あれって飲ませた石ころが原因だったりしないよね?」


 声をひそめるのは、周囲を気にしてのことか。


 少なからず、郁代も私と同じことを危惧していたのだとわかり、ちょっとだけ意外な気持ちになる。

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