第二章

 私の家は六階建てマンションの五階、五〇五号室にある。


 三LDKで、私が小学校四年生のときにお父さんが思いきって購入した場所。


 普段は共働きのため夜の七時過ぎまでは誰もいないことがほとんどだけど、土日は仕事が休みなので家族三人がこうして揃う。


「ねぇ、お父さん。お母さんでも良いんだけど……」


 リビングへ向かい、テレビを観ていたお父さんとキッチンで夕飯の支度をしていたお母さんへ声をかける。


「ん? どうした」


 ゆっくりとした動作でこちらを向き、お父さんが微笑む。


九引木山くびきやまって知ってるよね?」


 お父さんの横に腰掛けながら、私は瑠璃先輩たちと出かけたあの山の名前をだす。


「九引木山? ……ああ、知ってはいるけど、あの山がどうしたんだ?」


「別に大したことじゃないんだけどさ、あの山に噂って言うか古い言い伝えみたいなのがあるって友達から聞いたんだけど、何か知らないかな?」

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