第二章

 反発する理由もないため、私は素直に腰を下ろした。


「ねぇ、珠美ちゃん。この子学校ではどんな感じなの? クラスの皆とは仲良くやれてる?」


 まだ鞄を手に持ったまま側に立っている天音を視線で示しながら、おばさんは目の前にジュースを置いてくれる。


「何だかここ数日は様子もおかしくてねぇ、ぼーっとしてるときも多いし食欲もないみたいで。お父さんと二人で気になってたのよ」


 ちょうど良い。


 相手から本題を切り出してきてくれたおかげで、話をするきっかけを探さなくても済んだ。


 当人である天音は追い詰められたように視線を床に向けているけど、ここまできたら後はもう相談するだけだ。


「あの、おばさん……」


 覚悟を決めて、口を開く。


「なぁに?」


 とは言え、話す内容には気を付けないといけない。


 瑠璃先輩のことまで話して事態が大きくなればどんなことになるのかわからないし、今以上に自分たちの首を絞める行為になってしまっては本末転倒だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る