第二章
天音の住んでいる家は、一戸建てではなく団地だ。
過去に数回遊びに来ているから部屋がどこかは既にわかっている。
一緒に階段を上がり、三〇七号室の前までやってきた。
ドアノブに手をかけて回す直前、天音が尚も躊躇うような仕草をみせたが、意を決したように口を引き締めるとそのままゆっくり入口を開ける。
「ただいま」
奥の方から水を流す音が聞こえてくる。
「お邪魔します……」
先に中へ上がる天音に続き、その背中を追う。
「お母さん、今日は友達が一緒に来たから」
台所へ立つ母親に告げる天音の声を聞きながら、私は遠慮がちに前へでる。
「こんにちは。お久しぶりです」
軽く頭を下げて挨拶をする私へ振り返り、天音のお母さんは嬉しそうににこにこと目を細めてみせた。
「あら、珠美ちゃんいらっしゃい。よく来たわね」
「突然お邪魔してすみません」
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