第二章

 お父さんがいる状況よりはお母さん一人の方が緊張しないで喋ることができる気がする。


「それじゃあまずはお母さんに相談して、夜にお父さんと話をしてもらうって感じで大丈夫かな」


 もちろん、そのためにはお母さんを納得させなければいけないけれど。


「ねぇ、珠美。本当に家に来るの?」


 砂場を見ていた天音の瞳が、私へとスライドする。


「当たり前でしょ。天音が倒れたりしたら私だって困るんだから。お昼にも言ったでしょう?」


「……うん。ごめん」


 呟くように謝ると、天音は観念したように歩きだした。


 その隣に並びながら、私は彼女の青白い横顔を盗み見る。


 天音の中で何が起きているのかはさっぱりわからないけれど、このまま放置していれば夏休みに入る前にでも死んでしまいそうな雰囲気すら感じる。


 公園を出て天音の家に着くまでの間、私たちに会話はなく、近くを通り過ぎる車のエンジン音や小学生たちの笑い声が、まるで遠い世界の音のように耳へ届いた。

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