第二章

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 その日、学校が終わると同時に私は天音と共に教室を飛び出した。


 天音の家に行くと決めたのに、もたもたしていて瑠璃先輩に捕まってしまっては元も子もない。


 まだ気乗りしない天音を急かし、靴を履き替えて外に出る。


 走って学校から離れたい衝動を堪え、天音を気遣いつつ早足で校舎を後にした。


 無言で歩き続けること、約十分。


 途中にある公園に入ると、私は一旦足を止め後ろを付いてきていた友人へ振り返った。


「ねぇ、家には今誰がいるの?」


 今さらという問いかけではあったが、前もって知っておいた方が良いかと思いつき訊ねてみる。


「今の時間なら、お母さんはいるよ。お父さんは仕事だから、夜まで帰ってこない。たぶん、七時過ぎるんじゃないかな」


 横にある無人の砂場を眺めながら、天音は答えた。


「そっか。お母さんはいるんだね」


 言いながら、私はホッとした気分になる。

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