第一章

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 結局、天音は次の休み時間に教室へ戻ってきた。


 相変わらず顔色は悪く普段以上に口数も少なかったけれど、お弁当はちゃんと食べていたし――さすがに体育は見学だった――帰りのホームルームまでこなすことができていたので、私が心配するよりは回復していたのかもしれない。


 一日の工程が全て終わって、教室からは次々と生徒がいなくなっていく。


 これから部活をやる人、塾へ行く人、遊びに出かける人もいるだろう。


 そんなクラスメイトを目の端に映しながら、私はまだ席に座ったままの天音へと近づいていった。


 鞄に教科書を詰め込んでいた彼女の手が止まり、こちらを見上げる。


「一緒に帰ろう。まだ体調万全じゃないんでしょ?」


「……うん」


 微かな笑みを浮かべて頷くと、天音はいそいそと荷物をまとめて立ち上がる。


 朝に比べれば幾分しっかりしているような気はするけど、それでもいつもとはやっぱり違う。

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