第一章
4
結局、天音は次の休み時間に教室へ戻ってきた。
相変わらず顔色は悪く普段以上に口数も少なかったけれど、お弁当はちゃんと食べていたし――さすがに体育は見学だった――帰りのホームルームまでこなすことができていたので、私が心配するよりは回復していたのかもしれない。
一日の工程が全て終わって、教室からは次々と生徒がいなくなっていく。
これから部活をやる人、塾へ行く人、遊びに出かける人もいるだろう。
そんなクラスメイトを目の端に映しながら、私はまだ席に座ったままの天音へと近づいていった。
鞄に教科書を詰め込んでいた彼女の手が止まり、こちらを見上げる。
「一緒に帰ろう。まだ体調万全じゃないんでしょ?」
「……うん」
微かな笑みを浮かべて頷くと、天音はいそいそと荷物をまとめて立ち上がる。
朝に比べれば幾分しっかりしているような気はするけど、それでもいつもとはやっぱり違う。
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