第一章
風邪を引いたときに感じるようなあんな感覚とはまったく違う、もっと胸の奥から冷やされるような表現しがたい不快感。
――たぶんこの子、何か得体の知れないモノが憑いてる。それも、すごく面倒くさいモノ……。
誰に打ち明けることもしないが、坂下は小さな頃から普通の人には視えない存在が頻繁に視えていた。
祖父が霊媒師をしていたことを考えると、何か特別な力のようなものを受け継いでしまったのかもしれない。
生まれて初めて視たモノは、小さな手首だった。
坂下がまだ四歳くらいのときだったはずだ。
当時住んでいた実家の裏庭で、草むらから這い出てきたのを今でも鮮明に覚えている。
怖い、という感覚はまだ坂下にはなく、もっと純粋にあれは何だろう? 誰の手だろう? くらいのことしか思わなかったが、大人になった今振り返るとなかなかに不気味な光景だったと思える。
それ以来、頻繁に変なモノを視る機会が増えた。
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