第一章
言い訳を思いつくよりも先に口が開いた。
こんな咄嗟の口八丁みたいなものが効果あるのかわからなかったけれど、坂下先生は迷うように私と天音を交互に見つめ、やがて仕方がないと言いたげに首を縦に振った。
「まぁいいや。じゃあとりあえずベッド使って。一時間横になってても回復しないようなら、早退しても良いよ。その代り、治ったらちゃんと授業に戻ること。約束してよ?」
「はい、わかりました」
気後れしたようにもごもごと喋りながら、天音は頷く。
「あの、私も一緒にいたらまずいですか? 百瀬さん一人じゃ心配だし、側にいてあげた方が安心するかも……」
「あたしが付いてるんじゃ駄目なの? できれば、元気な生徒は教室に戻っててほしいけど」
苦笑を浮かべ、坂下先生はあっさりとそんなことを言う。
もっとも、本来これがまともな対応だろうけど。
「でも、その、やっぱり友達として放っておけないと言うか、せめて少しだけでも……」
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