第一章
「うーん。えっと、百瀬さんだっけ? あなた、こうなった原因に心当たりがあるんじゃない?」
「え? いえ、そんな……あたし……」
見た目からはそれほどの威圧感はないけれど、坂下先生の強い視線で見つめられ、天音は言葉を詰まらせる。
そもそも、強い口調で詰問する先生の言葉の中には、何と言うかまるで
“あなたたちが悪いことに関わっているのは気づいているのよ”
というようなニュアンスが含まれているような気がした。
とは言え、わからないのは事実だ。可能性として例の石が原因かもしれないが、確証もない。
――どうしよう……。
このまま先生のペースにはまったら、気の弱い天音は何かボロを出してしまいそうだ。
そうなれば、当然瑠璃先輩を不機嫌にさせる羽目になりそれがまた天音へのいじめに跳ね返る。
「あ、あの……! 百瀬さん本当に具合悪くて困ってるんです。早く休ませてあげた方が良いと思います。じゃなかったら、早退させてください。この後体育もあるし、万が一倒れたりしたら大変です」
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