第一章
「朝食は? 食べてきたの?」
そっと腕を伸ばし、先生は天音の額に手を当てた。
「……?」
そこで、先生の表情がほんの僅かに固くなったような気がした。
それはほんの一瞬で、でも始めから変化なんてなかったのではと思うくらいに刹那のできごとだった。
「いつから調子悪くしてる? 正直に申告して」
見た目は穏やかなまま。けれど、その口調には悪いことをした生徒を叱るときのような剣呑さが微かに混じっている。
「……あの、坂下先生?」
どことなく違和感を覚えて、私はつい呼びかけてしまう。
「この子、いつからこんな感じなの?」
呼びかけの返事の代わりに、そんな問いかけが飛んできた。
「え? ……さ、さぁ。私が気づいたのは今朝学校に来てからなので、その前のことはちょっと……」
若干気圧されつつも、私は言葉をぼかしてそう告げる。
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