第519話 「異世界の女神アネモネちゃんまたまた登場。かわいくってごめんねで九尾なの

【前回のあらすじ】


 という訳で、アネモネちゃんまたまた登場。

 この世界の神様でもないのに頻繁に顔を出しちゃって、ごめんねごめんねー。

 けど、可愛いから許してNE☆」


「おい、アホ女神。おい。毎回それやらなくちゃ気がすまんのか」


「のじゃ!! せっかく初期から統一しているタイトルの法則を乱してくれおって!! ぽっと出のキャラの癖にやってくれるのじゃぁ!!」


 駄女神、ここに再登場。

 基本的には神の人間社会への介入がご法度の世界においてこの破格の扱い。

 いったいどれだけ作者に気に入られているのか、この駄女神。


「流石だな駄女神さん、さすがだ」


「「流石じゃねえ!! 迷惑だよ!!」なのじゃ!!」


「うふっ、可愛さって罪よね。どんな作品でも馴染んじゃう、絵になっちゃう、完成された存在で――ごめんねごめんね☆」


◇ ◇ ◇ ◇


 いつものことながら唐突に姿を現した駄女神アネモネ。

 紅色の髪を振りまいて、おまけにそれに合わせた眼鏡までつけて、彼女はふふふんと余裕ある笑顔をこちらに向けた。


 まぁ、彼女が出てきた時点で、いろいろお察しである。


「あっちの世界でポンコツオキツネかましてた、そっちのヒロインちゃんはともかくとして、主人公の桜くんなら分かるよね。私が現れた意味について」


「……あぁ、分かるよ」


「なめんなやこの駄女神。ワイと桜やんをなんやと思ってるねん。異世界転生マイスター。バタフライエフェクトレベルで、異世界でこうなったらあぁなるが分かる、熟練異世界転移者やっちゅうねん。これはアレやろ物語の転換期――つまり、ハーレムルートへの転換のご説明言うやっちゃな!!」


 見てみい、心なしかワイの身体も右曲がりや。

 あるのかないのか分からない胴をくねってみせるダイコン。


 どうしてお前がここに居るのか。

 役場にモンスターが入り込んだら騒ぎになるだろう。

 外でなのちゃんと待っていろといったのになにやってんのか。


 なんにしても話の邪魔だ。


 俺は身体をくねらせて、卑猥度と値下がり感が増した、スケベダイコン大根太郎を力いっぱい地面に叩きつけて退治した。


 違う違う。

 そういうんじゃないから。


「まぁ、物語の転換期には違いないけれど、ハーレムはないわね。そういうの、主人公も求めていないし、作者も読者も求めていない」


「だよな。そこの認識はずれていないようで、こっちとしても嬉しいよ」


「のじゃぁ。じゃぁ、まったりゆるふわスローライフ続行なのじゃぁ?」


 家が燃えたのにと疑問の視線を向ける加代。

 ウィと首をしゃくって、その質問に応える駄女神。


 しかし――。

 この駄女神が信頼ならないことは、これまでの体験で分かっている。

 こういう物語の要所要所で、ちゃちゃを入れてくる性格も。


 今回姿を現したのも親切心半分。

 いたずら心半分と言ったところか。

 本当に質の悪い駄女神である。


「あらあら、この世界担当の神様じゃないからって、独白地の分が読めないほど権能がないと思ったら大間違いよ、桜くん。女神に対してその言いぐさは失礼じゃないかしら」


「うっせえぼけ。ゆるふわスローライフ続行とか、さらっと嘘吐いておいて、失礼もくそもねえだろ」


「ばれてるー。もう、本当に察しがよくて助かるわ。そうよね、もう、私の権能によるチュートリアルは必要ないわよね」


 長いチュートリアルもあったもんだな。

 勝手に幸運値カンストさせて、その癖なんの説明もなく世界に放り出して、させることがチュートリアルかよ。


 冗談はよしてくれと真面目な顔で睨みつける。

 そうすると――。


「オーケイ、それじゃ本題に入りましょう」


 くいと駄女神は眼鏡を掌で少し直してこちらを向いた。


 紅色の髪がはらりと揺れる。


「おめでとう!! 実績が解除されました!! 神々との接触を貴方たちはクリアしました!! そして、カルマボーナスがマイナス100になりました!!」


「……は?」


「……のじゃ?」


 なんだ、神々との接触って。

 というか、カルマボーナスマイナス100って、どういうことだ。


 ぽかんと間の抜けた顔をする俺と加代。

 そんな俺たちに、相変わらず駄女神はしれっと邪悪な笑顔を向けてきた。

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