第520話 実績解除で九尾なのじゃ

【前回のあらすじ】


「おめでとう!! 実績が解除されました!! 神々との接触を貴方たちはクリアしました!! そして、カルマボーナスがマイナス100になりました!!」


 突然現れた駄女神が告げた、耳に馴染みのないキーワード。

 はたしてカルマボーナスとはなんなのか。

 桜たちは毎度のことながら、駄女神アネモネの奔放な言葉の前に混乱のるつぼに突き落とされるのだった。


◇ ◇ ◇ ◇


「のじゃ。どういう意味なのじゃ、神々との接触って」


「……待て。そういや、旅の途中で変な子と出会わなかったか?」


 シュラトと分かれた一瞬の隙。

 俺と加代とダイコン、そしてアリエスちゃんの前に現れた謎の子供。


 そういえば、その子が自分のことを神だなんだと言っていた。

 そんなことを俺は唐突に思い出した。


 神々との接触という実績。

 それがあの子との接触ならば――。


「え、ちょっと待って!! 本当にあの子、神さまだったの!?」


「のじゃ!! 雰囲気的にありえない感じはしていたけれど!!」


「もちのロンのエクザクトリー!! 彼こそは、この世界の混沌を司る神、トリックスターのアッカーマン!! 貴方たちが接触して、この世界に転移した理由を問いたださなければならない相手でございます!!」


 マジか。

 その場の雰囲気に呑まれてしまって、完全に後手後手に回ったけれども、あれが俺たちをこの世界に呼んだこの世界の神様だったのか。


 そして――。


「大切なこの世界に呼ばれた理由を聞き忘れた!!」


「のじゃ!! そのためにわらわたち、いろいろ頑張っていたのに!! 大失策なのじゃ!!」


「はい、その通り。チャンスの神に挑んでその前髪をすっぽり掴み損ねる。見事なポンコツぶりいただきました。ふふふ、流石は異世界で鳴らした名ヒロイン。流石ですね加代ちゃんさん、さすがです」


「流石じゃないのじゃ!! やっちまったのじゃ!!」


「うぉおぃ、せっかくのチャンス!! 気が付いてたら今頃帰れていたのに!!」


 頭を抱える俺と加代。

 そんな俺たちをニマニマと生暖かい視線で眺める駄女神アネモネ。


 それならそれで、さっさとその時出てこいよ。

 そこですかさずアドバイスしてくれよ。

 この様子、絶対に俺たちのやり取りを天から見ていたんだろうな。


 デバガメ根性だけ逞しい女神さまだ。


 ちくしょう。

 俺は奥歯を噛み締めた。


「まぁ、言ってもアッカーマンさんは、善でも悪でもない中庸の神様。そして混沌属性持ちの気まぐれ神様ですから。どうせストレートにこの世界に転移した理由を問うても、けせらせらとはぐらかされるだけだったでしょうけど」


「……のじゃ」


「……それでなくても煙に巻かれた感じはあるなぁ」


「そうでしょう、そうでしょう。ていうか、君たちが神様を舐めすぎなんですよ。神様が、胸の前に紐を引っ張って、冒険者に親切なかわいこちゃんばかりだと思ったら大間違いですよ。特にこの世界の神様は一癖も二癖もあるような神たちです」


 舐めたらいかんですよ、そう言って何故かドヤ顔をする駄女神。


 この駄女神を上回る癖のある神ってあります。

 アネモネの態度に、俺は白目を剥いた。


 まぁ、それはそれだ。


「神様と偶然に会っちまってたのはしかたないとして」


「のじゃ。その後に行っていた、カルマポイントマイナス100っていうのは、いったいどういうことですか」


「あらあらご存じでない。洋ゲーではですね、主人公のパーソナリティを、その行動パターンによりパラメータにより定義したりするんですよ。悪いことしたら悪いポイントが、良いことをしたら良いポイントが加算されるんですね。そしてそれにより、色々な場面での選択肢や、ストーリー展開が変わって来るんですね。怖いですね、酷いですね、嫁を選んで子供の髪が変わるのとは訳が違う」


 いや、そのシステム自体は知っているよ。

 割と和ゲーでも浸透しているシステムだし。


 けれども解せないのはそこじゃない。


 なんでそのポイントがたまったのかだ。


カルマポイントってのがそういう類のものだとは分かる」


「のじゃぁ。で、それはどういう性質のものなのじゃ。重要なのはそこなのじゃ」


 善行、悪行、それとも、そういう軸とはまた別のこの世界特有のポイント。

 なんでもいいけど、それが一気に100も溜まる。


 言っちゃなんだがそんなことした覚えなどない。

 それが溜まった結果どうなるのかも想像できない。


 事情は知っているのはアネモネだけだ。

 すると駄女神、また邪悪な顔を見せて、こちらに微笑んだのだった。


「あら分からない。分からないんですか。仕方ないですね、まったくこれだから異世界転移初心者は。やれやれ世話がやけますね。そりゃ女神も引っ張りだこになりますよ」


「うっせーな、異世界転移なんて普通一回しかしねえだろ。普通だよ普通」


「のじゃ、もったいつけないで、さっさと説明してくれなのじゃ」


 仕方ないですねとため息。

 そんなため息を吐きだしたいのはこっちだってーのと呆れたその瞬間を狙って。


「大変だ!! 君達の行いのせいで、この世界は滅亡する!!」


「「な、なんだってー!!」のじゃぁー!!」


 唐突のキバヤシが俺たちに向かって繰り出された。

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