いっしょに帰ろう

 みちるは桜並木を歩きます。新品の鞄や制服にも桜が積もりました。こんな桜の頃に、あの子と別れたことを思い出します。

「みちる!」

 坂の向こうから、名前を呼ばれます。

「そっちじゃないよ」

 知らない子どもです。でも、走ってきたとき、眼差しに見覚えがある気がしました。

「いっしょに帰ろう」

 子どもは、ぎゅっとみちるの手を握ってくれました。

 学校のことなどを話すうちに、みちるは家の前に着きました。子どもは背を翻します。

「またね」

「ちるちる?」

 桜の季節、命を散らした老犬の名前を、みちるは呼びました。


 みちるは二日ほど行方不明になっていたそうです。

「ちるちる、ありがとう。またね」




#Twitter300字ss 参加作品からの再録です。

(第三十一回のお題「散る」 http://privatter.net/p/310549)

「題名」

いっしょに帰ろう

「ジャンル」オリジナル

「作品リンク」

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