第61話 さえと名乗る

日が暮れるまで畑を手伝って、女の人についていった。

みちみち

「手伝ってもらって助かったがね。そうそう、あんたじゃあなんだから、名前を聞いてもいいかね。わしはたけじゃ。」

「あ、はい。さえといいます。八王子には叔父がいるんです。」

「そうかね。近頃はいろんなとこから人が来るで。

京の方から下ってくる人や、あんた、もっと西の土佐や薩摩なんぞからもくる。

あんたは女じゃから口を聞いたが、男の衆は怖くてわしらも滅多なことでは口をきかん。」

「物騒ですもんね。」

「そうじゃ。世の中が落ち着かんとなあ、わしらも気が抜けん。」

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