地球に優しく

ある日、地球と月に自我が芽生えた。


月が地球に話しかける。

「そういえばずいぶんと顔色が悪いね」

「なんだか身体の表面がかゆいんだ。僕の身体の上を歩いている動物という奴ら、煩わしいな」


そう言うと地球はおもむろに身体を少しだけブルン!と震わせた。

その瞬間、地球上の人間を含むすべての動物は位置の座標がずれ、色んなことが起こった結果すべて消えて無くなってしまった。ついでに人間が作った建物もすべて無くなった。


「これで楽になったかい」

「いいや、まだかゆい。僕の身体に穴を開けてくっついている植物という奴ら、煩わしいな」


次はもう少し強めに身体をブルン!と震わせると、全ての植物は宇宙の彼方に消え、赤茶色の地表が露わになった。


地球は言う。

「スッキリした!」


月も嬉しそうに返す。

「やっと元の顔色に戻ったね。ずっと緑色だったから心配だったんだ」

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