護るという事

 果たして聞こえていたのだろうか。だが『聞こえている』と賭けるしかなかった。二度は言えない。それもそう、ソルマがシエラに語りかけている間に聞こえてきたのは、高らかな笑い声の『止む』音と、カチリ、というトリガーの引かれた音だった。

 

『佐々とゼロ・レイスを出せ。さもなくば反逆者として貴様を連行するぞ!! …おい、お前達! 向こうのうす汚い部屋を探して来い!!』

 製鉄機械を壊しきり、後ろのほうで油を売っていた二人の兵は突然の命に驚いた表情を見せたが、ゆっくりと廃物置き場に向かって歩き始めた。シエラは更にぐったりとソルマの腕に身を委ねた。それが生か死か、彼の呼びかけの成か失かを判断している時間は無かった。冷静さなどもう必要無い。何がどうあれ、息子の居場所はあと数分で発覚するだろう。ソルマは兵を睨んだ。黒褐色、両手ほどの大きさの鉄筒がソルマの胴に照準を合わせていた。その小さな引き金が引かれれば、私はどうなるのだろうか。いや、もう決めた事だ。私は最期に息子に伝えたい事がある!

 彼は、この声が最愛の者に届くよう、全力を振り絞って兵に叫び食らいついた。

 

『反逆者!? 構うか!! 我が子を守らずして何が親だ!!!!』

 

 

 

 パンッ!……パンッ!……

 

 

 

 その怒号が合図となったように、あっけなく、しかも二度その引き金は引かれた。乾いた音とは裏腹な灼熱の弾丸がソルマの背中から左胸にかけてに突き刺さった。白かったランニングシャツが、見る間にどす黒く染まっていった。

 

 躊躇いなどあるはずもなかろう。今は貴様のような命など紙屑に等しい程の心理で私達は動いているのだよ。

 

 引き金を引いた男の苦笑に歪む顔が倒れこむ二人の頭上に愚弄を吐きかけた。

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