口べらし★ 第2話 夢うつつ

紗裕は、ふかふかの寝具に入ると、

うとうとした。


枕元に気配を感じ、

着物を着た子ども達が、

紗裕を覗き込んでいた!


ちょっと!

あなた達、

何?



ふふふ……あはは……。



子ども達が、紗裕の布団の周りを

ぐるぐる回る。



紗裕は気を失った。



気がつくと、紗裕は昔の身なりをしていた。

かんじきに藁靴、

綿入れの着物。


簑に頭に雪ん子風藁の被り物。


昔の朝ドラで有名なおしんみたいな恰好だ!


この格好は寒くってスキーウェアと違う!


「ほら、もたもたしねぇで、

歩け!」


「早いよ〜(^_^;)」


「黙って歩け!」


恐っ!


紗裕は頷いて付いて行った。



「穴掘れ!」


男に促され、雪を手で掘った。


手には粗末な布製の手袋みたいなのをはめてはいたが、

スキーの手袋と違って、じんじん指先が痛くなった。


「このくらい?」


男の顔色を伺うと、


「まだだ!」


吐き捨てるように恐い顔で言った。


男も木切れのような物で、穴を掘る。


紗裕は穴が随分深くなったと男を見上げようと振り返ると、


男は穴からいなかった。


代わりに雪がどど〜っと、

紗裕に襲いかかって来た!


埋もれちゃうわ( ̄□ ̄;)!!


紗裕は必死にもがいた。


懐に何か当たった。


掴み出すと木の人形だった!


何これ?


こけし……だっけ?



酷く眠くなって、

紗裕は寝た。



「紗裕ちゃん、

紗裕ちゃん!」


お母さんの声。


目覚めると、

すっかり明るくなっていた。


「起きなさい!

ほらっ♪

スキー日和よ(^^)」


えっ!

スキー日和♪


紗裕はがばっと跳ね起きた!


「あらあら、

こけし抱いて寝てたの?」


「えっ?」


左手にしっかりこけしを握りしめていた!


何これ!?


さぁ〜っと血の気が引いた。


「旅館のかしらね?」


「そこの床の間に飾ってあったのじゃないかい?」


おばあちゃんが言った。


「あら、やだ……私ったらいつの間に……。」


夢の内容が脳裏をかすめた。


私、こけし握りしめて、雪の穴の中に、


埋められた……( ̄□ ̄;)!!



「恐い夢見ちゃった……。

こけし握りしめて、

雪の穴の中に埋められた……。」


「あらあら、昨日のおじいちゃんの話しの影響かしらね?」


「こけし……子消しなのかしらね?

おねしょしなかった?」


「おねしょ……って、

お母さんっ!」


「冗談、冗談♪

ほら、早く!

お義父さん達、

もう朝風呂から帰って来ちゃったわ(^^)」


「えっ!

朝風呂!?」


「紗裕ちゃんは、朝ご飯の後になさいね!」



「は〜い……(T_T)」

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