口べらし★ 第3話 スキー日和が

私と将義くんと

両親はスキーを


おじいちゃんと

おばあちゃんは、


旅館でゆっくり過ごしていた。



スキーは毎年行く。


だから、私達はリフトで登って、

随分長い時間、

滑っていた♪


お父さん、お母さんは、

ロッジで休憩すると言って引き上げたけど、


私達はまだまだ滑っていた。


日がかげって、曇り出した。


「山の天気は変わりやすいね!」


将義くんが言った。


「本当〜(^_^;)」


リフトに乗ったら、雪が舞い出した。


「吹雪くなら、ロッジに引き上げようぜ!」


将義くんに言われて、紗裕は頷いた。


リフトを降りると、

雪がけっこう舞った。


「下のゲレンデに着いたら、ロッジに行こうか!」


「そうね!」


必死に将義くんを追いかけた。


視界がきかないほど吹雪き始めた。


二人は、かまくらを見つけた。


明るい光が漏れている。


「甘酒飲んで、

温まってなんしょ♪」


雪ん子みたいな昔風の和装の子ども達が、

二人を手招きした。


「観光用のかしら?」


「甘酒か〜♪

ありがたいね(o^-^o)」


スキー板を外して、

かまくらに入った。


「はい、どうぞ♪」


二人は甘酒を配られた。



「止めろ!

飲んじゃなんねぇ〜!」


将義くんが、

低い男の声になっちゃって、

ちょっと東北訛りに言った!


「将義くん?」


「飲んでたんせ!」


子ども達が二人を囲む!


「逃げろ! こっから、はやぐ出ろ!」


将義くんが紗裕の手を引っ張って促す!


「逃がさね!」


子ども達がとうせんぼした!


将義くんは、甘酒を子ども達にかけた!


だが、子ども達と、かまくらが崩れてきた!


「紗裕!

泳げ!」


将義くんと必死に溺れたようにもがいた!


「紗裕〜!

紗裕〜!」


将義くんに掘り起こされて、

頬をべしべし叩かれていた!


「将義……くん?」


「気ぃ〜ついたか?

えがっだ〜!

えがっだぁ!」


そう言った将義くんが、

急に倒れた!



私達は、スキー場のパトロール隊に救助された。


スキーのコースから外れた林道だった。


「よぐここでわらすが迷子になるがら、

もしがすると、

まだがな〜っで、

来てみだら、

やっばみづかっだんだべ。」


パトロール隊の話しが東北訛りで、

良く分からなかったけど、

どうやら私達が見つかったのは、迷子スポットらしい。


「紗裕ちゃん、

俺さー、

さっき、将(まさし)ってヤツが、

俺ん中に入ってたんだ……。」


「えっ?」


「何でもない、

冗談だよ(^_^;)」


確かに、将義くんの話し方じゃなかった……。



「紗裕ちゃん、おっかない夢見ちゃったって?


昨日の話しはな、

じいちゃんの父親、

つまり、将(まさし)曾(ひい)じいさんの子ども時分の話しだ!」


「曾じいちゃん?」


「ほれ、将義の巻いとる襟巻きは、曾じいさんの形見だ!


曾じいさんが、

自力で雪ん中から這い出て帰ってこれたから、

儂らがおる。」


事情を知らずに

笑う祖父の言葉に

孫二人は、

背筋が凍った……。

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