概要
見れば救えた。見るべき理由だけが、なかった。
王都のはずれで暮らす四歳のチビには、もうすぐ五歳になる楽しみがある。年長児のフットが、その日に小さな石をくれると約束しているのだ。市場には荷車が行き交い、遠い国の噂が流れ、向こう岸の誰かの名で食べ物も配られる。そんな街の片隅で、チビは咳をし始める。フットはいつものように水を飲ませ、何度も救護所へ連れていく。誰も特別なことはしていない。誰も、悪くない。
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