概要
先のことを聞かれても困る。俺が知っているのは体験版の分だけだ
領民に「暴君」と憎まれる十七歳の辺境の領主、コンラート・ヴァルト。RPG『リュミエール・サーガ』の体験版で、三十日後の収穫祭の夜に魔獣となり、勇者に斬られて死ぬ悪役だ。その体験版を四十周した俺は、増税を言い渡す広場の壇の上で、こいつに転生していると気づいた。
狼が出る時刻も、ゴブリンが村を襲う方角も、徴税官の裏帳簿の隠し場所も知っている。死にたくないから先回りしただけなのに、家令は「若様にも、その目がおありだったとは」と涙ぐみ、衛兵隊長は「来る時刻を知っておられた」と考え込む。焼けるはずだった村では、領民が次々に膝をついた。三か月前に紅茶をかけて火傷させたメイドは、謝られて泣き出し、「旦那様のためなら、わたし、何でもいたします」と言う。
暴君の名で私腹を肥やしてきた徴税官は、誰にも教えて
狼が出る時刻も、ゴブリンが村を襲う方角も、徴税官の裏帳簿の隠し場所も知っている。死にたくないから先回りしただけなのに、家令は「若様にも、その目がおありだったとは」と涙ぐみ、衛兵隊長は「来る時刻を知っておられた」と考え込む。焼けるはずだった村では、領民が次々に膝をついた。三か月前に紅茶をかけて火傷させたメイドは、謝られて泣き出し、「旦那様のためなら、わたし、何でもいたします」と言う。
暴君の名で私腹を肥やしてきた徴税官は、誰にも教えて
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