概要
婚約破棄のため最低な男を演じたら、彼女の好感度が上がり始めた。
「レオン様。私に嫌われてくださいませ」
婚約者のセシリア・ローゼンベルクはそう言って焼き菓子の皿を脇へ寄せ、空いたところへ一枚の紙を置いた。
月に一度、ローゼンベルク家の温室で開かれるこの茶会は十年続いているが、そのあいだ卓の上に菓子と茶器以外のものが載ったことは一度もなかったので、俺はまず紙の白さに少し驚き、それから一番上の行に目を落とした。
婚約解消申請書、とあった。
公爵家の紋が透かしで入った正式な用紙で、申請者の欄にはもう彼女の名前が、定規でも当てたような相変わらずの字で書き込まれている。
「嫌われてくれ、というのは」
「言葉のとおりですわ」
「俺が、君に」
「ええ。できれば徹底的に」
婚約者のセシリア・ローゼンベルクはそう言って焼き菓子の皿を脇へ寄せ、空いたところへ一枚の紙を置いた。
月に一度、ローゼンベルク家の温室で開かれるこの茶会は十年続いているが、そのあいだ卓の上に菓子と茶器以外のものが載ったことは一度もなかったので、俺はまず紙の白さに少し驚き、それから一番上の行に目を落とした。
婚約解消申請書、とあった。
公爵家の紋が透かしで入った正式な用紙で、申請者の欄にはもう彼女の名前が、定規でも当てたような相変わらずの字で書き込まれている。
「嫌われてくれ、というのは」
「言葉のとおりですわ」
「俺が、君に」
「ええ。できれば徹底的に」
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