概要
息をすることすら、こんなに重い。 夜の静寂に沈む独白。
蛙にもなれないプランクトンやミジンコのような存在――そう自身を評する語り手は、秋の夜、布団の中で生きることの徒労感に苛まれていた。
勝手に伸びる爪や髪、部屋に響き渡る鈴虫たちの命の鳴き声。そのすべてが鬱陶しく、生への嫌悪感を募らせるなか、ふと幼少期に聞いた寓話『きりぎりす』を思い出す。無計画に生き、冬に蟻に救われるあのお話の生温さに抱いた違和感。
鳴き交わす鈴虫たちの声の隙間に、途切れかけた異質な声を聞いたとき、語り手はそこに声すら失いかけた自分自身の姿――「きりぎりす」を見る。
恵まれた環境で生き長らえている自分に悲劇のヒロインを気取る資格はないと解りながらも、夜の闇と生の重圧は容赦なく押し寄せてきて……。
静寂な夜の自室で、生きる痛みに向き合う短編手記。
勝手に伸びる爪や髪、部屋に響き渡る鈴虫たちの命の鳴き声。そのすべてが鬱陶しく、生への嫌悪感を募らせるなか、ふと幼少期に聞いた寓話『きりぎりす』を思い出す。無計画に生き、冬に蟻に救われるあのお話の生温さに抱いた違和感。
鳴き交わす鈴虫たちの声の隙間に、途切れかけた異質な声を聞いたとき、語り手はそこに声すら失いかけた自分自身の姿――「きりぎりす」を見る。
恵まれた環境で生き長らえている自分に悲劇のヒロインを気取る資格はないと解りながらも、夜の闇と生の重圧は容赦なく押し寄せてきて……。
静寂な夜の自室で、生きる痛みに向き合う短編手記。