★
0
概要
売れるものを知り尽くした44歳が、「好きなもの」だけを売る店を始める。
王都交易院で二十二年、「人が何を欲しがるか」を読み続けてきたアンネア・フロント、四十四歳。
娘が家を出た翌朝、彼女は仕事を辞めた。
人の欲しいものは分かる。
けれど、自分の欲しいものだけが分からない。
王都を離れたアンネアがリゼルで見つけたのは、七年空いた古い店と、一脚の青い椅子だった。
「好きだから」
売れそうだからでも、誰かに勧められたからでもない。
自分のために選んだ、最初のものだった。
そこから「好きなものしか置かない」小さな店が始まる。
濃紺に銀糸の刺繍布。
形の揃わない白いカップ。
夕方にだけ淡く光る花。
甘すぎない胡桃菓子。
けれど、好きなものは、好きなだけでは売れない。
売れ残る。仕入れすぎる。作り手に無理をさせる。
土地を離れると性質が変わり、売りたくても売
娘が家を出た翌朝、彼女は仕事を辞めた。
人の欲しいものは分かる。
けれど、自分の欲しいものだけが分からない。
王都を離れたアンネアがリゼルで見つけたのは、七年空いた古い店と、一脚の青い椅子だった。
「好きだから」
売れそうだからでも、誰かに勧められたからでもない。
自分のために選んだ、最初のものだった。
そこから「好きなものしか置かない」小さな店が始まる。
濃紺に銀糸の刺繍布。
形の揃わない白いカップ。
夕方にだけ淡く光る花。
甘すぎない胡桃菓子。
けれど、好きなものは、好きなだけでは売れない。
売れ残る。仕入れすぎる。作り手に無理をさせる。
土地を離れると性質が変わり、売りたくても売
おすすめレビュー
書かれたレビューはまだありません
この小説の魅力を、あなたの言葉で伝えてみませんか?