現代ならば、人に話せぬことをAIを相手に喋るようなものだろうか。
しかし人間はやはりそれでは満足せぬようだ。
「壁打ち」にはなってくれても、AIは向こうから手を差し伸べてくることはない。喜怒哀楽を持たないAIは、なんとなくそれに近いものを文字列として流してくるだけで、そこに意味を見出すのは、我々人間の側である。
王さまの耳は、ろばの耳。
胸に膨れ上がったものの、棄て場所が欲しい。
肉親を殺し邪魔者を排して、駈け上がった王座。
いつ足許をすくわれるかも分からぬ冷たい宮殿で、女帝は、話し相手に南からやってきた鸚鵡を選ぶ。
しかしそれをよくはおもわぬ者の進言によって女帝は鸚鵡から遠ざかり、そして今、女帝は死の床にいる。
何処からか、きこえてくる、若い頃のわたしの聲。
わたしが次の日も、本当のわたしに逢うために囁いていた約束ごと。
王さまの耳は、ろばの耳。
老いた頬に流れる涙の理由を知るのは女帝ばかりで、女の聲で啼く鸚鵡は、答えを持たぬただの老いた鳥だ。