第8話 自棄酒
ジャックと硲野が酒場に到着したときにはテトラとノレイルは酔いつぶれていた
「お前ら、飲みすぎだろ…」
「いいじゃない‥‥あんたたちも飲もーよー。」
「そうですよぉ、せっかくだしぃ‥‥」
ノレイルとテトラの二人で2,3Lは飲んでいるようだった
二人とも顔を真っ赤にしており、呂律は回らず、酒臭い
「俺は遠慮しときます、未成年なので。」
「未成年?ハザマノ、あんた、いくつよぉ。」
「16です。」
「ならいいじゃなぁい‥‥15からこの国は飲酒オーケーなのよぉ。」
そう言われても日本育ちの硲野にとって16で飲酒は背徳感がある
中学生のころ、酔った親戚のおっちゃんに飲まないか聞かれた時も断ったのだ
「俺は下戸なので‥‥」
ダイレクトに拒絶すると悪印象なので理由を適当につけておいた
これで問題解決だ!
後はゆっくり‥‥
その時、テトラが今にも倒れそうな歩き方で硲野に近づき、自分が飲んでいた酒を無理やり口に入れてきた
「ごほっ!? 何するんですか!」
「わらしの酒が飲めないとでもいうのぉ!」
「‥‥」
どうやらテトラはもう手に負えない状態のようだ
ジャックも頭を抱えている
班で唯一の常識枠だったノレイルも酔いつぶれていつのまにか寝ている
硲野が周りを見渡すと、レイナ分隊の騎士のほとんどが酔いつぶれていた
酔いすぎて裸になるもの、奇声を上げるもの、歌を歌いだすもの、失禁や嘔吐をするもの
店に出禁されるだろ、これ‥‥
だけど、俺も飲むわけには‥‥
その時、荒々しく酒場のドアが開けられた
入ってきたのはレイナだった
レイナが酒場に入ってきたときの第一声は
「みんな、10日後、また任務よ!」
だった
当然反発するものがほとんどで、
『ふざけんなくそババア!』
『舐めてんのか、殺すぞ!』
『頭おかしいだろ、死ね!』
とレイナに罵声を浴びせていた
ババアや殺すや、死ねなど言ったやつらはもれなくレイナにしばかれたが
「私だって、おかしいと思ってるわよ‼ でも、仕方ないじゃない、団長が命令って言ったんだから! おじさん、ビール3杯お願い!」
「あいよ!」
あ、これ、レイナさんも酔いつぶれるやつだ‥‥
ジャックは『帰ろうぜ』と言い出した
「はい、そうしま‥‥」
「貴方達、勝手に帰ろうとしないの! 誰が私たちの介助をするのよ!」
ストレスが溜まっているのか、レイナが理不尽である
結局、ジャックと硲野はその晩、全員の介助をしたのち、帰宅することになるのだった
硲野はひどい目にあわされたと感じた
でも、彼らは好きで飲んでいるのではなく、現実から目を背けるために飲んでいたような気がして、次の任務が怖くてたまらなくなった
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