第7話 密談
「どういうつもりですか。」
「何が?」
レイナが去った後、アリスがクライヴの部屋に入ってきた
その目つきは厳しいもので、先ほどの会話を聞いていたことがわかる
しかし、クライヴは全く意に介していない
「レイナたちに無理をさせすぎでは? 前線部隊とはいえ余りにも厳しすぎます。」
「それがどうしたんだい?」
「どうしたって、そうやってはぐらかして、何がしたいんですか!」
「真夜中だぞ。騒ぐなよ。」
アリスが怒鳴ってもクライヴは動じない
やれやれとでも言いたげな顔だ
だが、その表情はアリスの怒りを増長させるだけだった
「クライヴはいつもそう! 何を思っているかわからない! ハザマノが来る前からずっと‥‥レイナたちは気づいてなかったかもしれないけど!」
「人の心なんて読めないのは当たり前だし、俺にだって俺の考えがある。」
「私は、邪魔なんですか?」
震えた声でアリスが問う
怒りというより、不安に近い震えだ
「‥‥ああ。」
「‥‥そうですか、わかりました。」
アリスは俯いて何も話さなくなった
クライヴはアリスを見つめながら何か考えているような様子だ
「‥‥じゃ、俺は娼館にでも行ってくるから、戸締り頼んだぞ。」
「‥‥駄目です。」
「俺だって22だ。そろそろ卒業したい。同年代の奴らは大体‥‥」
「団長としての自覚がありません。」
「俺の面子はもうつぶれてるようなもんだからいいだろ。」
「駄目です。」
クライヴはため息をついた
そして、頭をかきながら言った
「俺だって好きで娼館に行こうと思ってるわけじゃないんだ。騎士団内恋愛とかしたいけど、俺に気がありそうな女子、いつのまにか俺の配属からアリスの配属になってるし。」
「自意識過剰では?」
「‥‥はぁ、わかったよ。それじゃ、今日はやめとく。」
「そうした方がいいですね。」
「‥‥俺は、帰っとくから。・・・・おやすみ、アリス。」
「はい。おやすみなさい。」
クライヴは部屋から出て言った
一方、部屋に残されたアリスは悔しそうな表情で奥歯をかみしめていた
「‥‥一人で背負わせるなんてさせない。」
月明かりに照らされた部屋でアリスは固く誓った
硲野、レイナ、クライヴ、アリス‥‥それぞれの知らないところで互いの思惑が交錯していた
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