第5話 初陣
襲撃当日
「班を崩さない、覚えてますね。」
「はい。」
硲野たちは陰に潜み、機をうかがっていた
恰好は腕と足に防具をつけただけの軽装だ
それでは斬られたら死ぬのではと硲野がジャックに聞いたら、魔法があるし、魔力を使って剣で斬ってくるやつがほとんどだから意味がないそうだ
こっちの方が動きやすいしな、とも言っていた
鎧があっても意味がないのならその方がいいのだろう
硲野もジャックの言うとおり、軽装にした
その時、大きな声が聞こえた
「第1陣が攻撃を始めました。私たちもいつでも出られるようにしておいてください。」
「了解」
剣と剣がぶつかり合う音
悲鳴、爆音
異世界の戦いがリアルで行われていることに硲野は興奮を隠せなかった
自分が不死だからなのだろうが
「行きますよ!」
ノレイルの掛け声で硲野たちは出撃した
敵味方入り乱れる乱戦に身を投げたのだ
「エクスプロードフレイム!」
ノレイルの魔術で黒装束の者たちが悲鳴を上げながら燃えた
黒服が敵だと認識した硲野はジャックやテトラから離れないようについて行きながら抜刀した
2陣の襲撃によって敵は動揺したようで陣形が乱れていた
ジャックやテトラは次々と敵を切り倒していく
「ジャックさんたち、強くないですか?」
「当たり前だ! 俺たちは数えきれないほど前線に出てるからな。経験値で言えば、そこらの幹部よりも高い。特にこういう乱戦では‥‥」
「私たちの独壇場よ!」
それは戦いというより蹂躙であった
他の騎士たちも善戦しており、勝利は目前だった
「これなら大丈夫そうだ‥‥」
安心した硲野の足に何か転がってきた
人の生首だ
「何だ、首か‥‥うっ‥‥」
硲野は吐しゃ物を吐いた
ここは単なる遊びではない
戦争だ
分かっていたことだ
でも、異世界だからという理由でどこか他人事として考えていた
そして、人が死んでいることにも何も感じていなかった
だが、目の前の死体を凝視してしまったことにより、現実を思い知らされたのだ
自分が先ほどまで人を殺すことに興奮していた
そして、仲間が、敵が、人を殺している
硲野が吐くには十分な理由だった
「おい、トオル!」
気づいた時には遅かった
敵の剣が硲野の脇腹を貫いた
「ぐっ、あっ、っつ!」
「大丈夫か!」
ジャックが硲野を刺した敵を斬り捨て、駆け寄る
「大丈夫、です。」
「大丈夫じゃねぇだろ!さっき刺されて‥‥ない?」
ジャックが硲野が刺された場所を見ると傷がなかった
確かに刺されていたはずなのに
「トオル、これは?」
「‥‥」
硲野は早くも不死バレの危機にさらされた
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