第4話 兄貴と作戦
硲野は第3騎士団の宿舎に泊まることになった
2人部屋にだ
もちろん、同じ班のジャックと過ごすことになるのだが‥‥
「困ったことがあれば聞けよ。‥‥さっきは悪かったな。本当は俺も色々教えてやりたかったんだが、俺が教えるとテトラの野郎が文句つけるから言えなかったんだ。」
思ったより悪いやつじゃなかった
テトラさえいなければこの班は意外と機能するのではと思うくらいだ
食堂も一緒に案内してくれて、字の読めない俺に通訳してくれた
夜は次の勉強を教えてくれた
頼れる兄貴みたいである
「ありがとうございます。ジャックさん。」
「ジャックでいい。敬語もいらねぇ。こんな血なまぐさい仕事に礼儀なんて持ち込んでも意味がない。」
「なるほど。」
「あ、でもテトラ以外の女子には優しくしておけよ。騎士団は女子が少ないからな。恋愛したいならそうすることだ。後、レイナさんはやめておけ。何十人もの野郎どもが玉砕したからな。俺含めて。」
「恋愛か‥‥考えたことなかったな。」
異世界に来て、恋愛
王道なシチュエーションではあるが、生きるので精いっぱいの現在、そこまでの余裕がなかったのだ
「そりゃもったいないぞ。生きる死ぬの仕事だ。楽しみはあった方がいい。」
「そうで、だな‥‥」
ついつい敬語が出てきそうになるのをこらえながら硲野はその晩は寝落ちするまでジャックとともに恋バナをした
__翌朝
「それでは明日出撃する反国教戦線の討伐について班でどうするか話し合います。」
「え?明日?」
聞いていない
新兵が3日目から死地へ運ばれるなどこの隊はどうなっているのだと硲野は震えあがった
「あ、そうでした。ハザマノさんに言ってませんでしたね。実は明日、任務があるのです。」
ノレイルさんによると反国教戦線という組織に小規模拠点が近くにできたのでそれをつぶしに行くらしい
人員はおよそ100名
夜襲を仕掛けること
さきの盗賊団との戦いで死亡者、負傷者が多いことなどの理由でこの人数になったそうだ
「絶対に班を崩さないでください。乱戦になれば多対一の戦いもあります。その時に一人で戦えば死にます。」
真剣な顔のノレイルに硲野は声を出せず、うなずくことしかできなかった
「また戦いかよ。」
「文句言わないの。うちらが特攻部隊なんだから。」
「あぁ…もっとましな隊に入りたかったぜ。なぁ、トオル?」
「確かにやばいな‥‥」
「いつの間にあんたたち仲良くなってんのよ!?」
軽い空気の硲野とジャックにテトラは驚いた
ノレイルは『親睦を深めることはいいことです』と嬉しそうに目を細めていた
それから話し合いを始めた
硲野が属するこの班は第2陣として出撃するらしい
まず第1陣(およそ30名)が基地を襲撃
相手が動揺したところで残る2陣が出撃するという作戦だ
「この任務にレイナ様は参加されません。代わりにグランベル副隊長が出撃されます。」
硲野としては隊長が直々に出撃していただけた方が心図良かったが贅沢は言ってられないということだ
それよりも問題なのが、みんなに不死の力を隠しながらどう戦うかだ
かすり傷くらいなら治っても気のせいですでごまかせるかもしれないが、腕欠損レベルとなるとさすがに嘘をつけない
クライヴが言っていたように回復魔法ですという嘘もつけない
昨日、魔法が使えないと言ってしまったからだ
何で魔法が使えないなんていったんだ俺と硲野は自らの愚かさを嘆くしかなかった
「それでは、以上で終わります。」
班の方針としては硲野もいるので小難しいことはせず、とりあえず班を崩さないこと、つまり、生き残ることが最優先だと決まった
ジャックやテトラも同意した
硲野としても不死バレのリスクが減るのでありがたい
「みんな、生き残りましょう。」
ノレイルの言葉に硲野たちはうなずいた
そして、当日、硲野の初陣の日がやってきた
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