概要
あなたを壊した人が、あなたのために泣いている。
困っている人を、彼女は放っておかない。生活雑貨メーカーの社長室に勤める真壁沙依は、細やかに社員を気遣い、問題が起これば真っ先に駆けつける。けれど彼女に救われた人は、いつの間にか大切なものを失っている。担当していた仕事、部下からの信頼、自分の判断への自信。そして、彼女の助けなしに生きていく力。育休から戻った営業社員、才能を見込まれた若手、会社を支えてきた古参、昔を知る同期。誰かが傷つくたびに、沙依の居場所は広がっていく。恋人である社長の庇護のもと、彼女は人を守る言葉で権力を手にしていくが、自ら追い詰めた相手が去ろうとすれば、声を失うほど泣く。その涙も、献身も、嘘だとは言い切れない。一話につき一人の社員の喪失を描きながら、会社が彼女のものになる過程をたどる連作小説。彼女の内面は語られない。残され
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