むかし、キャラクターの名前とか、登場するアイテムとかの格好いい名称を事前に考えておこう!という運動をしたことがありました。
小説の題名とか、登場人物とか、必要に応じて考えていると効率が悪いので、事前に格好いい造語をストックしておこうというアイディアです。
そのとき考えた造語には、「オカルト・モード」、「オミクロン・スタイル」、「アクセル・アーマー」とかがありまして、キャラクター名では、「〇〇天狼星」、「柳生紫微斗」なんかがありました。
天狼星に関しては、作中では比良坂天狼星という姓名ですが、このとき考えた姓は別の物です。すこし作中のネタバレになるので、ここでは伏せさせていただきます。
で、本作の題名にもなっている「オカルト・モード」。これは「機動戦士ガンダムX」のオープニングを歌った「ロマンチックモード」というグループから取っているのは確実なんで、この運動は1997年前後のことだと思います。
現代を舞台にして、日本刀で斬り合う。そんな話のアイディアはずいぶん前から思い付いていて、それはしかし、なかなか小説という形には成りえませんでした。
現代人が、わざわざ日本刀で斬り合う理由がみつからないからです。
そのため、刀でないと死なない敵を考え、その設定を作り、あれやこれやとやっているうちに、科学設定が入ってSFになり、そのたびにストーリーは複雑になり、さらに設定が増え……。物語はどんどん訳分からないものになっていきました。
本作のもともとのアイディアである「オカルト・モード」という作品は、何度も何度もプロットを組みなおし組みなおし、膨れ上がった設定を取捨選択したものです。
ぼくがカクヨムで公開している作品の約半分は、そのむかし、力が足らなくて小説として作品化出来なかったものを、とうとう形にできたものであり、本作もそのひとつです。
「惑星ナヴァロンの狙撃姫」を書きあげ、そのあとに旧「フェルミオン・サーキット」を書き、そのあとに書こうとした「要塞学園オカルト・モード」。このときのとっかかりとなったアイディアは、蝉足篠の「侍を雇いましょう」でした。2008年の末から翌年にかけてのことです。
が、一行も書くことなく、プロット段階で挫折。クライマックスの殺陣、不屍者を殲滅するテスラ・モードとの兼ね合いがどうしても組み上げられなかったのです。
そののち、2011年にもう一度書こうとしてプロットを再考し、そのときのプロットはどこにあるのか不明ですが、それが現行のプロットの原型です。
ただし、クライマックスをどうするかは決められませんでした。
その2011年版プロットには、本編には出ていない小泉今日太がおり、逆に最後に作られたキャラ・市川海老奈はすでにいます。
ただし、柳生紫微斗以外の剣魔については、つい最近考えたものです。呪禁刀の名前も、主要なもの以外は、最近考えたものです。
あと、テスラ・ハートの設定が違っていたかな? おそらくまだ「テスラ・モード」という名前で、「テスラ・ストリーマー」、「テスラ・デバイダー」、「テスラ・ハート」という三つの超兵器というトンデモ設定だったと思います。
今回この「刀剣オカルトMØDE」を作品として書き上げることが出来たひとつの理由として、やはり「異世界でも使える! 超適当剣術講座」を書いたことが大きいと思います。
あの中で、改めて考察し、頭の中で整理した知識が、本作では遺憾なく発揮されています。
あれがなかったら、「夢想剣VS西江水」なんかは、ちょっと書けなかったと思います。
そして、いまだから書きますが、「百人斬り」。
これはきつかった……。どこのどいつだ、こんなことやろうと思い付いたのは。ここでもぼくは、「十年前の自分にバカヤローと言いたい」です。
本作は少しばかり、いつもとちがう調子で書きました。
きちんとプロットを書き、物語としてのシステムを作り、その構造に則って書いています。それでも、あちこちに穴がありましたけどね。
ただ、とにかくプロットを書いて書いて書きまくり、メモのようなアイディアから設定、とくに話の流れを文字にしたことで、クライマックスを決めることができました。逆算的に、テスラ・モードはあの形になっています。これはアイディア先行では難しかったと思います。
本作をもって、自分が過去に書くことのできなかった作品は、すべて一応形にすることができたことになります。
ここでひとつの区切りでしょうか?
本作のラストシーンを書いて、ぼくにとっての「オカルト・モード」は終わりました。
もう十分書いたし、もう思い残すこともないし、だったら書くことをやめてしまおうかという気持ちもありますが、あるいはここから更なる一歩を踏み出すのかもしれません。
だいたい、書くのをやめてしまう人間が、なにをどうしてプロット用の万年筆を二本も持ち歩いているんだ、という話ですね。
ということで、いずれにしろ、一本書きあげて、ほっとしています。
そして、いまはまた、何か他のものを書きたいと、なんとなく思っています。