『師弟の餅つき大会』
ヴァンフォルストに着いて、初めての新年を迎えた。
「弟子よ、餅を搗きに行くぞッ!」
「はあ、ヴァンフォルストには新年に餅をつく習慣があるんですね? (転生者の公子かな?)」
「初代様の頃より続く伝統行事じゃ」
あれ? そうなんだ?
「分かりました。 お供します」
餅つき会場に着くと大勢のガチムチさん達が幾つもの大きな臼で餅をついている。
安心した。
普通の木の臼と木の杵を使ってる。
日本の餅つき同様、二人一組でやってるね。
『参るッ!』
ドドドドドドドドドドガドドドガドドッ!
えっ? 凄い速さでやってるから、あっという間に出来たけど?
でも、途中「ガ」って聞こえたけど?
「良し、次だッ!」
返し手の人の指が可笑しな方向に曲がってますけど?
『参るッ!』
ドドガガガゴガゴガゴガガゴガガドドッ!
『グワァッ!』
「ぬッ、彼奴、研鑽が足りぬのう?」
返し手をしていた人の手がぐちゃぐちゃになっていた。
大事故じゃん!
「大丈夫ですか? [ヒール]」
「おお、済まぬな。
目算を謝ったわい! ガハハハハハッ」
いや、そう言う問題じゃないからッ!
まあ、餅は出来てるから良いのかな?
「良し弟子よッ! 我等も餅を搗くぞッ!」
「嫌ですけど?」
あんなの見た後で出来る訳ないでしょ!
「やるのだッ!」
私に拒否権は無いらしい……。
ただ、私の懸念が伝わった様で、私が搗き手で良いらしい。 助かった。
「我等の臼杵はあれだッ」
「金属製ですか?」
「うむ、ミスリル製だッ!」
「はあ、では参ります」
ド ド ド ド ド ギン ド ド ド ド ド ギン ド ド
あ、多分師匠の手を搗いてしまってる!
でも、ギンて聞こえたけど?
「し、師匠済みません、手を搗いてしまった様です!」
「問題ないのであるッ!」
まあ、金属同士がぶつかった音だったから臼でも搗いたんだよね…………?
そう言う事にしておこう……。
「良しッ 搗きたての餅を食うのじゃッ!」
どうせ餅に合わせるのはあれなんだろ?
きな粉だろ?
きな粉なんだろ!?
「お汁粉であるッ!」
「きな粉じゃないんかいっ!」
ヤバっ、思わずツッコミ入れちゃった!
「ぬ? お主……こんな時まで、きな粉を欲するとは見上げた奴じゃッ!
特別にお主はきな粉で食うが良いッ!」
嗚呼、私のお汁粉が!
お汁粉、カムバーーーーーーック!!
年始早々、自分のツッコミスキルを呪うソーニャであった。
〈了〉