猛撃のディープレッド(13)WIP4
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「嬉しいなあ。読み通りになるってのは嬉しいなあ」
装甲車じみた巨躯とは対照的に、鈴を転がすような声で笑うラージクロウ。その装甲には今も断続的に防衛隊員達が放つ銃弾が放たれているのだが、相変わらずこゆるぎする気配さえない。そして挙動や声から察するに、タームハイツで戦った個体と同一人物が操作しているのは間違いなかった。
「こちらの後退を予期していた、と」
「そういう、コトだなあ!」
不意にフレイムウイングへ首を向け、口を大きく開くラージクロウ。まずい、とアンバーが操縦桿を捻るのと、口腔に光が満ちるのは同時だった。
ごう。射出される火球がフレイムウイングの真横を通過し、壁に着弾爆発。ラージクロウは尚も火球射出を継続、フレイムウイングを明後日の方向へ追いやる。それから改めて防衛隊員達へ向き直り、火球を射出。
「各員散開!」
「了解!」「了解」「了解!」
キャプテンの号令の下、左右に散らばって火球を回避する隊員達。的を増やして攻撃を散らす目論見もあったろう。
だが、それはラージクロウの思う壺であった。